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会場がTシャツ愛で、1つに!【コアチョコ流Tシャツのつくり方 (2020/10/03) 】#研修会レポート

ART(s)さいほくの研修会レポート担当の福島です。2020年10月3日に行われた障害者芸術文化活動普及支援事業の研修会「コアチョコ流Tシャツのつくり方」にレポート担当として参加しましたが、一番の感想は「楽しい・面白い」でした、そして気づけば学びに溢れていました。ちなみに私も、2日前に完成したばかりのオリジナルTシャツ着用で参加しました。

Tシャツブランド「ハードコアチョコレート」代表のMUNEさんとライターの姫野たまさんのトークライブは、ラフなスタイルで話されるも、福祉事業所が実施するグッズ製作で使える実際的なヒント・アドバイスが多く盛り込まれておりました。例えばTシャツの受注生産。潤沢な予算があるケースは少ない中、在庫リスクは取りたくないものですが、「各サイズ、各色、何枚ずつ作ろう」とついつい在庫リスクをとってしまいがち。しかし、ネットの安くて質の良い業者を活用すれば1枚単位での発注も可能です。

3つの福祉事業所からの発表も、各所工夫や課題は様々で学びが多かったです。キーとなるのは「どう組むか(専門家と)」、そして「どう表現するか(アーティストである利用者さんらしさを)」でした。ぜひとも、以下の詳細レポートをご参照ください。

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<日時>2020(令和3)年10月3日土曜日
<場所>アトレ川越7階スペースセブン(埼玉県川越市脇田町105)
※インスタライブを活用したライブ配信も「まちこうばGROOVIN’(グルービン)+かうんと5」アカウントにて実施
<参加人数>37人

<進行>
1)3つの福祉事業所による事例報告「talk about my Tシャツ(私たちのTシャツ語ります!!)」
2)Tシャツブランド代表によるトークライブ「コアチョコ流Tシャツのつくり方」
3)質疑応答

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コロナの最中ですが、入場者数制限や座席の間引き、事前の検温など各種感染対策をした上で、障害者芸術文化活動普及支援事業の研修会として「コアチョコ流Tシャツのつくり方」が実施されました。本研修会は埼玉県川越市の会場参加の他、インスタグラムによるオンライン参加もでき、当日の模様を編集した動画の配信も後日行う予定です。

1)3つの福祉事業所による事例報告「talk about my Tシャツ(私たちのTシャツ語ります!!)」

発表1組目: 社会福祉法人三富福祉会 サポートセンターハロハロ一番館(山梨県)
橘田 一貴(きった かずき)さん ※山梨県よりZoomで参加

Hand(Have a nice dayの頭文字)Tシャツを披露

「これまでグッズは、和紙を使っての便箋・ハガキ・メモ帳の製作・販売などをして来ました。Tシャツも作りたかったのですが、わからないことが多かったので最初は外部の方と連携しています。ユニクロなどのブロンドものを研究して購入層や売り方を考え、生地の種類と、ブランド感を出すためのオリジナル要素(腕の部分のワッペン)、多色展開(9種類)などにこだわりました。TシャツにしたHandの文字は、『手作業』と『have a nice day の意味』です。Tシャツの絵を書いた方は挨拶をしっかりするhave a nice dayという言葉にぴったりで、作り手がわかる、メッセージ性あるものになるように工夫しました。関係者には好評で完売しましたが、一般の人の購入は1割程度だったので手応えはあまりありませんでした。そして販路について、メモ帳(200円)などに比べてTシャツは3000円と割高なので、イベントなどに持って行きづらかったです。

Zoomで発表する橘田さん

今後の課題は、アートと売上の関係性です。働いてお金をえる喜びと好きな絵を描くことの関係性で、売れるためのデザインだと楽しめないし、だけど売れないと作業代が出せません。来年の夏に向けて、新Tシャツの製作も考えています。」

発表2組目: 特定非営利活動法人 あすなろ会 地域活動支援センター むすび精神障害者地域作業所型。(神奈川県) 
中村 麻美(なかむら あさみ)さん

演奏動画を使いながら発表する中村さん(左)

「私どもの施設は就労訓練ではなく、調子が良いときに人と関わるような場所です。工賃をもらうことが目的では無いので、仕事は忘れて、まずは人生を生きなおすことを大切にしています。Tシャツは3つ製作しました。Tシャツに書いた絵は、Sさんという利用者さん作のもので、いつもテレビゲームをしていますが、日々色んな発明もしています。毎日常識にとらわれない発想で絵を大量生産しており、本人は書いたものに執着はないのですが、私たちから見たら宝物に見えます。PUSHという、利用者とスタッフ・事業所や作業所の枠を超えたバンドがあります、4つの作業所の頭文字を取ったもの(ペガサス・うらしま・せせらぎ・ひふみ)です。このバンド名を考えたのもSさんで、曲の作詞もSさんがしたものもあります。

「PUSH(バンド名)」のバンドTシャツ

Sさんのタレント性をフィーチャーして外へ売り出すことに興味があり、『バンドTシャツを作ろう』と盛り上がって製作しました。まずは、赤字を出さないようにイラストを業者に出しただけで作ったお試し的なものですが、今後はデザイナーさんを入れてカッコ良いものに仕上げることも考えています。」

発表3組目: 社会福祉法人 大三島育徳会 世田谷区立玉川福祉作業所(東京都)
石野 正子(いしの まさこ)さん、眞塩 恵(ましお めぐみ)さん

発表する眞塩さん(左)・石川さん(右)

「私どもの事業所は知的障害者就労支援事業所で、利用者は40名ほどで最高齢の方は69歳です。これまで、自主生産としてビーズの刺し子や機織りマット、干支の土鈴などを作っていましたが、高齢者の方がこちらへの配慮で買ってくださったり、職員向けに割引販売したりといった状況でした。転機は外部とのパートナーシップです。私どもの刺し子が、地元にあるアパレルブランド『群言堂』さんの目にとまり、利用者さんが自由に縫ったブローチを製作して丸の内のKITTEの店舗などで販売し好評でした。同様にアパレルブランドの『JEAN NASSAUS』さんと一緒に刺繍のポケットTシャツを製作・販売したりして、他ブランドの力を借りながらの展開ができました。世田谷区の補助金事業を活用し、コンサルと一緒にブランディングを行い、自分たちのブランドでのTシャツ製作も始めました。自分たちの弱いところは、プロのコンサル・デザイナーに入ってもらって迷子にならならないように、バランスを取っています。(石野さん)」

プリントしたものに、手縫いの刺繍を施した1点もののTシャツ

「デザイナーさんと組むときには、ブランドに合う人かどうかを大切にしています。組んだ方は、私がファンで顔見知りの方。相手が障害に興味があると知っていたことが大きかったです。デザイナーさんには、小さなことでも共有できるようにしていて、それが利用者の口癖をデザインに入れるなどの工夫にも反映されたりします。製作したものに価値が増すように、プリントTシャツに刺繍を入れて1点ものにしたりもしています。(眞塩さん)」

2)Tシャツブランド代表によるトークライブ「コアチョコ流Tシャツのつくり方」

「販路について、最初はネット販売をしていました。Eコマースが定着するかなり前からだったので、アップして欲しい人にメールしてもらい振込確認した後に発想するような、アナログな仕組みでした。自分が欲しいと思うTシャツに合うロゴなどスキャンして手刷りで始めてライブハウスに着て行ったら「どこで売っているの?今度来たときに買うから持って来て」と言われて需要があることがわかりました。もともと好きなものを題材にしていましたが、それは今も同じです。デザインソフトはフォトショップとイラストレーターを使っていますが、独学です。Tシャツ作りに必要な知識だけを取り入れているのでカラー対応はしていません。漫画や映画などのキャラクターTシャツを作るときには、まず原作買って全部観たり読んだりして、良いシーンを切り抜いて配置します。作品の熱を伝えないと、その作品のファンががっかりしないように、ファンの期待を越えないといけない、そのためには原作を読んでないとわからないものがあります。Tシャツの文字の色は、作品やポスター・パッケージに出てくる文字に合わせます。怪獣なら怪獣の色、ダダ星人であれば白など。(MUNEさん)

「私は地下アイドルをしていたのでTシャツは多く作りました。同じTシャツを着ると、恥ずかしさと同時に連帯感が湧きます、Tシャツで人が繋がるんですね。Tシャツは生活に密着していて、グッズとして買いやすいし実用性があります。Tシャツは何枚あっても良いですし、来ているTシャツでセンスが出るし、相手の好きなものがわかるのも良いですね。(姫野さん)」

3)質疑応答

Q:Tシャツにする芸人さんやプロレスラーの人選はどのようにして選んでいるのですか?(参加者さん)
A:シンプルに自分が好きな人を選んでいます。芸人さんは、ひょうきん族シリーズや昔のTHE漫才の芸人さんが多いです(MUNEさん)

Q:(会場に展示してある障害のある人の絵を見て)この中の絵を選んでTシャツにするならどのようにしますか?(参加者さん)
A:出来るだけオリジナルの絵をいじりたくないですね。イラストの顔の部分に文字が被っているのが、普通無いセンスでカッコイイですね。ランボーの絵なんかは売れそうです。チラシの裏側に書いた絵なので、うっすらチラシが透かして見えるようにしたいですね(MUNEさん)

Q:Tシャツを作る上で、絶対にしないことはありますか?(参加者さん)
A:オリジナルの絵を使わずにデザイナーが新たに書き起こすことがありますが、それは絶対にしません。本物しか使いたくないですので。(MUNEさん)

会を終えてのインタビュー

To MUNEさん

Q:権利者(アーティスト)との調整が難航する時は、どのように対処していますか?
A:なかなか思い通りには行かないですが、作品への「愛・情熱」を伝えることです。相手はアパレルとして価値があることを認識していないこともあるので、そんな時は辛抱強く説得することですね。

Q:市場・購入者のニーズはどの程度加味しますか?
A:折り合いはあまり考えません、「どのキャラクターを扱って欲しい」といった要望をもらうこともありますが相手にしません。売れなくてもしょうがないと割り切っています。

Q:年間100作品を生み出すチーム構成はどのような形ですか?
A:デザインと企画は僕一人です。あとは、契約担当や通販担当、店舗担当などで5人ほど。別に大阪に3人ほどで回しています。

 

To 参加者さん(一般社団法人 日本ヨーヨー連盟 上村哲弘さん)

Q:本日はどのような経緯で参加されたのですか?
A:コアチョコさんのファンでTシャツ作りの参考になる話が聞きたくて来ました。日本ヨーヨー連盟の記念Tシャツを作っています。販路や売り方について課題感を感じており、それは今日聞いた福祉事業所の方と同じです。Tシャツを表現媒体として活用し、ターゲットとの共通言語・結びつきとすることは良いと思っています。

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